30日に京都競馬場で行われる天皇賞・春(GI、芝3200m)の「血統傾向」を分析する。
京都で行われた過去5回、すなわち2016~20年の天皇賞・春で3着内に入った種牡馬データを集計した下記の血統表をもとに推奨馬2頭を紹介する。ここでは、そのうち1頭を紹介する。
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■瞬発力に富んだディープインパクトを代表するサンデー系の血
京都で行われた過去5回の種牡馬成績をみていくと、3着以内に入った種牡馬が全てサンデー系種牡馬であることがわかる。なかでもディープインパクト系種牡馬は述べ16頭出走し、2勝2着1回3着2回、2019・20年でディープインパクト産駒のフィエールマンが連覇しているように好成績。
一方、キングカメハメハ系の種牡馬は【0.0.0.10】と大不振。2020年も2番人気のユーキャンスマイルが4着、3番人気のキセキが6着と上位人気馬であっても馬券圏外に敗れており、連覇を狙うドゥラメンテ産駒・タイトルホルダーにとっては気になるデータと言えるだろう。

この傾向は京都芝3200mというコース形態とレース展開が影響している。向こう正面に急坂があるコースレイアウトで、ここで一旦ペースが緩む。そして3コーナーから4コーナー入り口にかけての下り坂、さらに直線はほぼ平坦のため、一呼吸置いてのラストスパート。つまり「瞬発力戦」になりやすく、瞬発力に富んだディープインパクトを代表するサンデー系の血が活きる展開というわけだ。
そこで今回はディープインパクト産駒に注目する。
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■アスクビクターモア
父は無敗の三冠馬・ディープインパクト、母父は1985年の凱旋門賞を制するなど欧州でGIを2勝したレインボウクエスト、半兄に2016年のコロネーションSを制するなど欧州GI2勝のケマーがいる血統構成。
3歳時に弥生賞ディープインパクト記念を勝利し、日本ダービーでも3着に入ると、ラスト1冠の菊花賞は番手から抜け出しレコード勝ち。イクイノックスやドウデュースなどがいる強い4歳世代でもトップクラスの実績を持っていると言っていいだろう。
1番人気に支持された前走の日経賞では見せ場なく9着に敗れたが、スタートの出負けと不良馬場が敗因。1週前追い切りでは新たにコンビを組む横山武史騎手を背に、美浦ウッドで5F64秒7-1F11秒5と好時計を余力残しでマークしており、体調も整っていそうで、2つ目のタイトルも十分狙えそうだ。
そして、血統面でも今回の条件に適性が垣間見える。父ディープインパクト×母父ナスルーラー系の牡・セン馬は、2018年以降、芝2400m以上の平坦コースに出走すると【6.11.3.33】勝率11.3%、複勝率37.7%と高い好走率を誇っている。
また上記の条件に加えて、4歳以下かつ社台系生産馬(ノーザンF、社台F、追分F)に絞ると【6.8.3.18】勝率17.1%、複勝率48.6%、複回収値121と軸にするには信頼を置ける好成績。上記6勝のうち5勝は乗り替わり時である点も踏まえると、横山武騎手への乗り替わりもプラスに働きそうだ。
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文●中井達也(SPREAD編集部)