牝馬クラシック第1弾の桜花賞には、2021年の最優秀2歳牝馬・サークルオブライフや、ラブリイユアアイズ、ウォーターナビレラら阪神ジュベナイルF上位組に加え、前走チューリップ賞を勝利したナミュールやクイーンCの勝ち馬・プレサージュリフトなどが出走予定。2012年~16年の5年間は前走チューリップ賞組から桜花賞馬が誕生していたが、直近5年はフィリーズレビュー、シンザン記念、朝日杯フューチュリティS、エルフィンS(リステッド)、阪神ジュベナイルFと異なる路線から勝ち馬を輩出しているように、定番ローテからの脱却が進んでいる。つまり各路線のレースレベルと質を加味して取捨選択をすることが重要ポイントとなっているわけだ。
今回、桜花賞の「危険な人気馬」として取り上げるのは、前走のチューリップ賞で阪神ジュベナイルF組を破り桜花賞に駒を進めてきたナミュールだ。
◆【桜花賞2022予想/追い切り診断】サークルオブライフと並ぶ「A」評価は伏兵 「大仕事をやってのける可能性」
■妙味はゆとりのある別路線組か
新馬戦→赤松賞と勝ち星を重ね、ゆとりのあるローテで阪神ジュベナイルFへと向かったナミュール。初の重賞に加え、中2週と間隔が狭くなったことが影響したのか、マイナス10キロと馬体重を大きく減らしてレースを迎えた。これまでの勝ち方が評価され、1番人気の支持を得るも大外枠から痛恨の2馬身出遅れで万事休す。直線内目から鋭く脚を伸ばすも4着までが精一杯といった内容だった。そして立て直しを図った次戦には桜花賞トライアル・チューリップ賞を選択。馬場中央から上がり最速の33秒9の末脚を繰り出し、阪神ジュベナイルFで先着を許した上位陣を抑えて見事桜花賞への権利を獲得した。
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スピード能力、切れ味、エンジン性能はともに世代トップクラスで、今回も横山武史騎手が継続騎乗ともなればGIタイトル奪取の期待は高まる。しかし大きく出遅れてしまった阪神ジュベナイルFと同様「叩き2戦目」のローテでの臨戦過程となることに加え、戦歴を重ねるごとにゲートの集中力がなくなっているように「精神面」での課題が多くなっている現状も踏まえるとリスクが大きく、全幅の信頼を置けるような存在でもないのだ。さらに鞍上の横山武史騎手が今年に入ってからの重賞で17回騎乗しているのにも関わらず、【1-1-4-11】といまいち勝ち切れていない現状も踏まえると人馬ともに不安要素の方が大きい。
また、前述にも記載しているが、近年の桜花賞は「前走チューリップ賞組」が不振傾向にあり、昨年はチューリップ賞上位3頭が馬券外、2020年は1番人気のレシステンシアが2着に敗れ、19年にも1番人気のダノンファンタジーが4着に敗れているように、それまで定番だったチューリップ賞→桜花賞のローテーションでは別路線組に足元をすくわれてしまうケースが多く見受けられるのだ。ナミュールは賞金的にもチューリップ賞を勝たなければ桜花賞に駒を進められなかった立場であり、賞金的にも余裕がある阪神ジュベナイルFの1、2着馬との臨戦過程を比べると、桜花賞に向けてのモチベーションは後者の方優位に働くだろう。また、そのチューリップ賞でナミュールの2着に突っ込んできたのは新馬戦からのローテだった13番人気のピンハイで、レースレベルを考えると決して高かったとは言い難い。つまり、今年の桜花賞も別路線組やチューリップ賞惜敗組を狙うべきなのだ。
ここは馬券的な妙味も考え、人気一角のナミュールを「消し」とする。今年のメンバー構成と、前残りも目立っている今開催の阪神マイルの傾向をイメージすれば、阪神ジュベナイルF2着からの直行ローテとなるラブリイユアアイズを中心に、ウォーターナビレラ、クロスマジェスティ、アルーリングウェイら、ある程度のポジションから競馬ができ、チューリップ賞以外の前哨戦で結果を残してきた馬を上位に評価したい。
▼その他、穴馬予想
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◆【穴馬アナライズVol.2】馬券内で“万馬券”射程の爆穴 「前走フロック視は禁物」
◆【穴馬アナライズVol.3】想定“8人気”前後の伏兵 「前走は勝ちに等しい内容」
桜花賞2022予想コラム一覧
▼追い切り診断
◆【S評価】渾身仕上げでナミュール超えの「S」評価 「勝ち負けがあっていい」
◆【A評価】サークルオブライフと並ぶ「A」評価は伏兵 「大仕事をやってのける可能性」
◆【A評価】評価は2強の一角に軍配 「確かな成長」で好勝負必至
◆【B評価】ナミュールに不満の「B」評価 「気持ちの面で乗り切れていない」
▼データ予想
◆【騎手データ】連対率100%データに該当も、前日フタ桁人気の人馬とは
◆【データ攻略-前編】「0か100」のナミュールか、馬券内率“8割”の2歳女王か
◆【データ攻略-後編】巻き返しの準備は整った、“リピート好走”が後押し
▼その他、過去10年データ傾向
◆【枠順】人気2騎は「3年連続連対」の8枠 馬券内率0%の“鬼門”に実績馬が入る
◆【血統傾向】ドゥラメンテ産駒に“激走”警報、馬券内率87.5%の「配合×条件」
◆【脚質傾向】人気馬に立ちはだかる“名牝”の壁 好データには「穴候補」がずらり
◆【前走ローテ】前走・チューリップ賞組は5連敗 「中10週以上」の直行組に警戒
◆【人気傾向】サークルオブライフかナミュールか、馬券内率8割を誇るのは「2番人気」
阪神牝馬ステークス2022 データコラム一覧
◆【阪神牝馬ステークス2022/枠順・騎手データ】過去10年のグラフデータから読み解く狙うべき馬とは
◆【阪神牝馬ステークス2022/前走ローテ】動く過去10年データグラフから読み解く狙うべき馬とは
◆【阪神牝馬ステークス2022/人気傾向】過去10年のグラフデータから読み解く狙うべき馬とは
文・西舘洸希(SPREAD編集部)