29日は東京競馬場でフェブラリーSの前哨戦・根岸S(GIII、ダ1400m)が開催されます。今回は2003年の中山開催を除く2000年以降の過去データを基に気になる騎手データを見ていきます。
◆【根岸ステークス2023予想/穴馬アナライズVol.2】前日オッズ“50倍”前後の伏兵 「久々の千四が吉と出る可能性」
目次
■一発なら内田博幸騎手
今年の根岸Sに騎乗する騎手の中で、2003年の中山開催を除く2000年以降の過去レースで騎乗経験があるのは原優介騎手を除く15騎手。各騎手のデータは次の通りです。

[2000年以降]根岸Sの騎手別成績(2003年の中山開催を除く)
表の最上部には大ベテランの田中勝春騎手、柴田善臣騎手の名が並びますね。両騎手とも連対率20%代で悪くないデータですが、今年の騎乗馬の人気と実績を考えるとさすがに厳しそうです。
※田中勝春騎手は前日16番人気のジャスパープリンス(牡8、栗東・森秀行厩舎)、柴田善臣騎手は前日15番人気のベルダーイメル(牡6、栗東・本田優厩舎)に騎乗予定。
一方、同じ美浦の大ベテランでもデータと当日の騎乗馬の双方から穴の資格がありそうなのが内田博幸騎手です。
2006年のリミットレスビッド(6人気1着)、09年のセントラルコースト(7人気3着)、15年のアドマイヤロイヤル(15人気3着)、18年のノンコノユメ(6人気1着)などで馬券絡みがあり、過去の騎乗11回中8回で人気以上の走りを見せています。
注目は騎乗馬の前走クラスで【内田博幸騎手】×【前走重賞出走馬】は【2.0.1.1】の連対率50%。勝率、連対率とも大きく跳ね上がります。そして、今年同騎手が跨るのが前日9番人気のアドマイヤルプス(セ6、美浦・加藤征弘厩舎)。前走の武蔵野Sでは7着だった同馬ですが「前走重賞出走」という熱いパターンに該当する以上軽視はできません。この人馬が波乱を演出しそうです。
■人気の三浦皇成騎手は買い
続いて見ていくのが前日2番人気のギルデッドミラー(牝6、栗東・松永幹夫厩舎)に騎乗する三浦皇成騎手のデータです。
平均人気10.4を思えば、連対率25%と数値的に優秀な同騎手。2011年ダノンカモン(3人気2着)、15年エアハリファ(1人気1着)で2度の連対がありますね。その2頭以外はほぼフタ桁人気だったため、少ないチャンスをものにしてきたと考えるべきでしょう。
なお【三浦皇成騎手】×【当日3番人気以内】は【1.1.0.0】の連対率100%。人気が当日まで続くようなら信頼すべきでしょう。
■武豊騎手、C.ルメール騎手のジャッジは
ここからは過去人気馬に跨る機会が多かった武豊騎手とC.ルメール騎手について見ていきます。まず武豊騎手ですが、2010年サマーウインド(1人気2着)、15年ワイドバッハ(2人気2着)のように人気で勝ち切れない傾向が見られます。
ただし、騎乗馬を牡馬・セン馬に絞ると、集計期間内未勝利であることに変わりはありませんが【0.3.1.3】連対率42.9%と数値が大きく上昇。複勝回収率も120%ですから牡馬・セン馬なら買いですね。
その武豊騎手が跨るのが昨年の2着馬で前日6番人気のヘリオス(セ7、栗東・西園正都厩舎)。GI級レースで2戦連続の好走がありながら、人気が上がらない状況なら馬券的妙味ありと考えます。
続いて素の成績が優秀なC.ルメール騎手。2017年のベストマッチョ(2人気12着)の結果が響き、人気と比べると着順の落ち込みが見られるものの、19年から21年にかけて3年連続で馬券絡みしたように本重賞での安定感がストロングポイントです。
なお、過去の騎乗機会7回中6回は乗り替わりでの騎乗でその成績は【1.2.1.2】の連対率50%。今年は前日3番人気のテイエムサウスダン(牡6、美浦・蛯名正義厩舎)に騎乗予定ですが、乗り替わりの心配はいらないようです。
■レモンポップに騎乗の戸崎圭太騎手は…
最後に前日、断然1番人気レモンポップ(牡5、美浦・田中博康厩舎)に跨る戸崎圭太騎手のデータを見ていきます。2016年のモーニン(1人気1着)など3度の馬券絡みがある戸崎圭太騎手ですが、1点だけ気になるは1番人気騎乗時の成績です。
【戸崎圭太騎手】×【当日1番人気】は【1.1.0.3】の連対率40%で、この数値はそこまで高くありません。昨年の全重賞の1番人気連対率は41.7%です。
また。2014年のブライトライン(1人気4着)、19年のサンライズノヴァ(1人気8着)、22年のソリストサンダー(1人気9着)と3度も1番人気で4着以下に敗れていることは見逃せませんね。過去データ通り3/5で4着以下に敗れる可能性があるなら、レモンポップ以外の可能性を考えるのが正解でしょう。
以上、根岸Sの気になる騎手データでした。データ注目騎手として三浦皇成騎手、武豊騎手、C.ルメール騎手の3名を今回は取り上げます。
根岸ステークス2023予想コラム一覧
▼追い切り診断
◆【追い切り診断】重賞馬を上回る「S」の最高評価 「ここが本線と思えるほどのデキ」
◆【追い切り診断】GI善戦馬を上回る「A」の高評価 「ここぞで弾けられそうな雰囲気」
◆【追い切り診断】実績上位馬は辛口評価「B」 「本番までにどこまで変わってくるか…」
◆【追い切り診断】想定“12人気”前後の爆穴を猛プッシュ 「過去最高レベルの内容」
▼データ攻略
◆【データ攻略】重賞未勝利も「4.0.0.0」の“鉄板”ローテ 同条件で際立つ盤石のレースぶり
◆【データ攻略】想定“8人気”前後に「3.2.1.0」の期待度 前走2桁着順からの巻き返し材料
◆【データ攻略】前走GI組に該当する「馬券内率100%」条件 メンバー随一の“適性”で浮上
◆【データ攻略】超新星を「馬券内率75%」が後押し GI出走へ向けて陣営も本気仕上げ
▼穴馬予想
◆【穴馬アナライズVol.1】単勝オッズ“2桁”の盲点 「この馬に食指が動かされるのは当然」
◆【穴馬アナライズVol.2】前日オッズ“50倍”前後の伏兵 「久々の千四が吉と出る可能性」
◆【穴馬アナライズVol.3】想定“8人気”前後の刺客 「展開面を考えれば一発ズドンもある」
◆【危険な人気馬】重賞未勝利の上がり馬は“消し”評価 「中3週以内での勝ち星なし」
▼血統傾向
◆【血統傾向】人気落ちの実績馬へ後押しなるか 馬券内率“6割超”の条件とは
◆【血統傾向】上がり馬が波乱の使者候補 勝利5割を誇る単回収値「356」に合致
▼その他、過去10年データ傾向
◆【枠順】レモンポップが入った7枠は勝率0%の鬼門 注目は「3枠の三浦皇成」
◆【前走ローテ】馬券の中心は“武蔵野S”組も、前走フタ桁着順に巻き返しの予感
◆【脚質傾向】4連勝中の「差し」が有利も ペース傾向から警戒すべき“伏兵”とは
◆【動画プレーバック/根岸ステークス2022】6人気テイエムサウスダンが中団から直線で脚を伸ばしJRA重賞初制覇
著者プロフィール
伊藤大輔(いとうだいすけ)●「UMAJIN.net」編集部
秋田県生まれ。スポーツ関連書籍出版社、競馬専門紙の勤務を経て、現在はUMAJIN .netでライティング、競馬データ解析等を担当。『SPREAD』では主観的要素の強い「馬体解析」と客観的なデータの蓄積である「騎手データ」から、注目すべき馬と騎手を取り上げていく。