2歳のマイル王を決める朝日杯フューチュリティS(GI、芝1600m)が19日、阪神競馬場で行われる。
新潟2歳S、デイリー杯2歳Sとマイル重賞連勝中のセリフォス、前走札幌2歳Sを上がり最速で制し、今回マイル初挑戦のジオグリフ、前走萩Sを上がり最速で制したダノンスコーピオン、朝日杯フューチュリティS初勝利を目指す武豊騎手とのコンビで、新馬、アイビーSと連勝中のドウデュースなどが出走する。
先週行われた阪神ジュベナイルFと違い、牡馬戦線は、クラシック志向の有力馬が2000mのホープフルSを選択し、朝日杯フューチュリティSには、マイル路線の有力馬が出走してくる傾向にある。2017年にホープフルSがGIに格上げされ、よりこの傾向が強くなっており、こういった背景を踏まえ、「血統傾向」を分析していく。
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■スピードとパワーを兼備するDanehillの血
阪神芝1600mは、前週に直線の下りで加速できるスピードに加え、ゴール前の急坂をこなすパワーも備えた総合力を問われる舞台設定だ。今年は、京都の改修工事の影響により11週目の使い込まれた馬場で、よりパワーを求められる馬場状態である。
過去5年の朝日杯フューチュリティSの種牡馬成績は以下の通り。
ディープインパクト産駒は【2-0-2-4】勝率25%、複勝率50%、単勝回収値206、複勝回収値92とハイアベレージを残している。勝利した2頭はサトノアレスとダノンプレミアムで両馬とも母系にDanehillを内包していた。
Danehillは芝短距離路線においてレベルが高いオーストラリアでリーディングサイアーを9度獲得した名種牡馬だ。母系からこの短距離志向のスピードとパワーを継いでいることが、マイル戦で好走できるポイントの一つ。
また、Danehillの血は体格がよく、サトノアレスは500キロ、ダノンプレミアムは490キロと馬格があった。上記のディープインパクト産駒の成績に馬体重が480キロ以上というフィルターをかけると【2-0-1-0】と全て馬券内に来ている。
今年該当する馬は、エイシンヒカリ産駒のカジュフェイスを含めるとドーブネ、スプリットザシーの3頭がいるが、「Danehill」と「馬体重」の条件をクリアできておらず軽視したい。
馬体重については、その他のサンデー系においても同じ傾向にあり、479キロ以下のサンデー系は【1-1-2-15】勝率5.3%、複勝率21.1%と低調であるが、480キロ以上だと【3-0-1-9】勝率23.1%、複勝率30.8%と格段に勝率を上げている。2019年の勝馬サリオスもDanehillを内包し、馬体重も538キロあった。
今年該当するその他のサンデー系は、プルパレイのみ該当。
プルパレイは、前走馬体重が488キロで、母系にDanehillの父Danzigを内包している。父サンデー系のイスラボニータからスピード、母系からパワーを受け継いでいるこの血統が朝日杯フューチュリティSにマッチしており注目したい。
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■短距離GI勝利の種牡馬にも注目
Danehillを内包する血統に加え、注目しておきたいのが、自身が芝マイル以下のGIを勝利している種牡馬。ダイワメジャー、Frankel、キンシャサノキセキなどが当レースで活躍を続け、13年連続で馬券内に好走している。
先週の阪神JFで特注馬に挙げた8番人気のラブリイユアアイズ(父ロゴタイプはマイルGI2勝)が2着に好走したように、この傾向は今の阪神の馬場でも継続している。
今年該当する馬は、アルナシーム、トウシンマカオ、オタルエバー、セッカチケーン、セリフォス、ダノンスコーピオンの6頭。
なかでも、注目はダノンスコーピオン。今回、萩Sからの距離短縮ローテとなるが、牡馬のロードカナロア産駒が阪神芝1800mから芝1600mへの距離短縮の場合、【4-2-4-11】勝率19%、複勝率47.6%、単勝回収値216、複勝回収値98と好成績を残している。2歳戦に限定しても【1-2-0-1】単勝回収値862、複勝回収値210と期待値が高く、このローテはプラスに働くと判断し、一発に期待したい。
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文・SPREAD編集部